変人達の考え事

変人(複数)が各々考えたことを書いています。

「1円でも安く」を求める我々は。

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 最近は環境の変化にも少し慣れて、考え事をする時間というのがとれるようになってきた。その中で、私はこの「今」という時代がよくわからなくなってきた。コンピュータやネットワークが発達し、好きな音楽も、小説も、ゲームも、名声も、他者からの承認だって得られるようになった。もちろんこれは無償で手に入る訳ではない。しかし、その対価であるお金もこれらで手に入れられるし、時間をかけるだけで得られるものもある。現代社会は我々の多種多様な欲求を容易に満たしてくれる。

 しかし、これほどまでに欲求を容易に満たしてくれる環境にいることは、本当に幸せなのだろうか。私にはわからなくなってきたのだ。

 そこで、これから「今」という時代を生きるという、などというよくありそうなテーマの基で思ったことを書いてみる。今回はインターネット上での購買行動について考えてみる。

 何故そのサイトで購入するのか。

 インターネット上には無数のショッピングサイトが存在している。それぞれ扱っているジャンルが違ったり、規模が違ったりと差はあるが、家にいながら商品を買える。その点については共通している。では、そうしたとき我々は、どのような理由・思考をもって利用するサイトを決めているのだろうか。これは恐らく実店舗で買うときとは違った点が存在する。

家から店舗までの距離

 実店舗で購入するときに、おそらく一番重要なのはその店がどこにあるか、である。土産物や特産品は別にして、北海道に住んでいる人がわざわざ東京まで日用品を買いに行くか、といわれたら、まず買いに行かない。時間がかかりすぎるし、交通費も馬鹿にならないからだ。それをするのはもはや買い物ではなく旅行である。

 それが一方インターネット上ではどうだろうか。時間の問題は、商品が家に届くのであって、待つだけなので、問題にはならない場合もある。送料も自分が直接行くのに比べれば安いものである。結果として、東京と北海道位の距離は大した問題ではなくなる。加えて、国内では手に入らないものも、海外に拠点をもつサイトから購入する。そのようなことも別に珍しくはない。

 もはや距離はさほど大きな問題ではない。

販売価格

 もう一つの実店舗で購入するときに重要なのは販売価格であろう。これは当然で、全く同じ条件ならば当然安いものの方がよい。これは火を見るよりも明らかだ。

 ではインターネット上ではどうだろうか。価格比較サイトなるものが存在し、我々はどのサイトで買うと安いのかを探す。そして、安く買えるところで買う。

 そう。我々はインターネットで買い物をするときは一番安く買えるところで買っている。それだけではないか。 一見するとそのように感じる。しかしながら、果たして本当にそれだけなのだろうか。実は安く買おうとすることで、むしろ操られているのではなかろうか。

会員制度やポイントのはらむ危険性

 実店舗・インターネットを問わず、会員制度やポイント制がある店舗は多い。これに操られていることはなかろうか。

 我々が買うものというのは一生で一つということはない。何度も買い物をするものが圧倒的に多い。そんな中で、初めにある商品が、ポイントを考えると最も安いからあるサイトAで購入することにした。次回、別の商品を買うとき、決して一番安い訳ではないが、前回のポイントがもったいないから再びサイトAで購入する。そのまた次、繰り返しサイトAを利用してランクが上がってお得だからとまたサイトAを使う。(以下省略)みたいなことは気づかないうちに十分にあり得る。これは極端な例かもしれないが、少なからず心当たりがある人は多いだろう。

 この例がはらんでいる矛盾は、本人はその場では一番お得に購入できたと感じていたとしても、全ての買い物を足すと、そうではないことがあり得る点である。会員制度などに惑わされて、本来そのサイトで買うことが効率の悪い選択を選んでいる可能性があるのだ。

 別に私はこのことが一概に悪いとは言い切れないと思う。個人情報をばらまかないようにするとか、入力をいちいちしなくてよいとか、安心感があるとか、いい点もあるかもしれない。

 ただ、今私が言いたいのは、たった今支払う金額が少ないからといって、トータルで見ると支払う金額の総和は最小になるとは限らないということである。

まとめ的な何か。

 確かに現代は便利である。買い物をするにも、どこで買うと安いかをすぐに示してくれる。ただ、その情報は、目先に限ることが往々にしてあるのである。これは何も買い物に限った話ではない。楽をするために何かを変えたり、なくした結果、むしろ作業が増えるなどということはよくある話ではないか。

 もっと先まで考えろ。

 ということである。もっともこれはインターネットの普及前からあったことなのかもしれない。それが今なお形を変えて現れているだけである。