変人達の考え事

変人(複数)が各々考えたことを書いています。

計画は立てるものではない。

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 「計画を立てる。」おそらくやったことのない人間はいないだろう。ただ、上手い計画を立てることのできる人間はどれだけいるのだろうか。

 これまで2回にわたって「優れたリーダーは何もしない。」(リンク:第1回 第2回)と題して優れたリーダーは何もしないと語ってきた。しかしながら読み返してみると、これらは物事が動き出した後のことにのみ注視しており、その前段階、計画について述べていないことに気が付いた。そこで今回は立ち上げ段階における私の考えを述べる。

 1.目標を意識する。

 事の大小によって意識して計画を立てる立てないは人によって異なる。しかしながら、何をするにもひとまず目標を考えてあらゆる作業に我々は取り組む。それは意識上か無意識下であるかは関係ない。意識的に行う動作に対して、必ず我々は目標を設定している。例えば、本を読むのやテレビを見るのだって、物語を味わいたい、笑いたい、流行を知りたい、時間をつぶしたい、やらねばならない作業から目をそらしたい、などの目標がある。

 まずこの目標を意識することが計画を立てることの第一段階である。

 少なくとも意識して計画を立てようとしている事に対して、あなたはより良い成果を挙げたい、あるいは効率的に終わらせたいと考えているだろう。そのどうしたいか、というのが最大の目標である。ただ与えられた、あるいはやろうと思ったことを完了させる、というのはあくまで通過点に過ぎない。それを完了させてどうしたいのかが目標である。それはよい成果を挙げるだけでなく、他の作業や趣味に時間を割けるようにするといったことかもしれない。とにかくその目標を意識しなければならない。

 目標を意識して初めて目標に向かう手段を考えるのである。

2.目標に向かう手段の考え方。

 目標に向かう手段を考えるとは、いつどこで誰が何を何故どのようにするのか(所謂5W1H)を考えるということである。

 ここで、決してこの目的と手段を取り違えてはいけない。仮に何かのイベントの準備をしているときに、イベントの準備を通して会議を上手く回すスキルを身に着けたいという目標を持っているのでなければ、会議をすることは手段でしかないのである。会議を繰り返すことでより良いイベントとなるかもしれないが、あくまで会議は手段でしかないのである。従って、会議を行うことに満足してはいけないのである。

 この取り違えを起こさない限り、計画を立てることはさほど難しくない。

 まず、目標を達するのに計画を立てるのは必要かもしれないが、計画を立てることすらも手段の一つでしかないのである。であるから、完璧な計画を立てる必要はないし、計画に固執する必要もないのである。すると計画を立てる気も楽にならないだろうか。もちろん実際には計画からずれれば急ぐことはあろうが、最終的に間に合えばいいのである。加えて、そもそも事を進める中で、何が生じるのか分からないのだから、完璧な計画を立てることは不可能である。そのような気持ちで計画は立てるべきである。*1

 そして、明確な目標が見えているならば、その目標から逆算することで自然と何をすべきかは明らかとなる。加えて、到達点から考えている訳であるから、どれが優先事項であるかも明らかなのである。すると、どこに人員を割くべきか、どの程度時間をかけられるかも明らかとなり計画は立つのである。手段は出発点から考えるのではない。到達点から自然と見えてくるものなのである。 

 このように、目標を意識すれば、手段は自ずと明らかとなり、計画は立つのである。

3.全くの未経験への試み。

 計画は立つ、といわれても全くの未知数で、必要な手段すら想像もつかない、そのような挑戦的な目標に取り組むこともあるかもしれない。そのような場合はとりあえず無計画のまま作業をはじめてよい。そのように私は考えている。

 なぜならば、計画は無理に考えて立てるものではなく、自然と立つものであるからだ。計画書を提出しなければならないならば、それはそれらしいことを書くしかないだろう。なぜならば悩んでいる時間に頭や手を動かせば、必要な手段も自然と見えてきて、計画は立つはずだからである。

 計画を立てることは本質ではない。あくまで手段である。

 このことを心に留めておけば、計画に頭を悩ませることはないだろう。

4.まとめ的な何か。

 以上のように、計画は立つものであって、立てるものではない。その為には目標を明確に意識する、このことさえすればよいのである。

*1:ただし、これは計画がいらない、ずれても無視して良いという訳ではない。計画が到達点から自然と立ったものならば、その計画からのずれは到達点のずれへと必然的に繋がる。計画を守る必要はないが、帳尻は必ずどこかで合わせなければならない。