変人達の考え事

変人(複数)が各々考えたことを書いています。

優れたリーダーは何もしない。

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 「今」というこの時代に限らず、人が集まればグループができ、グループができればリーダーが生まれる。そのグループの生み出すことのできる結果というのは、勿論構成員のやる気や能力に依るとは考えられる。しかしながら、そのやる気を引き出し、持っている能力の中で最大限活用することにより、成果をより大きくできるかどうかはリーダーの采配にかかっている。逆に、構成員がいくら優秀でも、駄目なリーダーの元では大した結果は出ない。

 そこで、今回はそのようなリーダーは成果を出せて、どのようなリーダーは駄目なのか、私の経験を元に語る。

1. グループの規模とリーダー

 一言にリーダーと言っても、それは3人程度の小さなグループのリーダーから、少人数班を5つ程束ねるリーダー、数千人の上に立つリーダーまでと、まとめる規模は様々である。これらをひとまとめに語ることは難しいし、求められる要素も全く異なる。

 しかし、一番初めの最小単位におけるリーダーを考える場合、おそらくリーダーに求められるのは、やっていることを把握し、構成員とのコミュニケーションをおろそかにせず、困ったときは外に助けを求める程度である。正直この程度ならば、リーダーの能力云々の前に、頑張ればどうにかなってしまう。むしろどうにかならないのは班やリーダーの責任ではない。頑張ってどうにかならないのはその班に仕事を割り振ったもっと上のリーダーの采配に問題があっただけである。できる限り頑張る。無理ならば素直に無理と言う。これだけが最小単位のリーダーに求められていると私は考える。勿論上にいるのが優秀なリーダーであるという前提ではあるが。

 前の段落にも出てきたが、複数の班をまとめるリーダーというものも存在する。このリーダーは小さい組織ならばトップであるし、大きい組織ならばある程度独立した部門のトップと考えてよい。この規模以上のリーダーは責任を持ち、自らの采配が結果に大きく響く。次章以降ではこのリーダーについて掘り下げる。というのも、さらに大きな規模のリーダーも存在するが、正直に言えば私はその規模のリーダーを経験したことがないため何も語れないからである。

 以上のような理由から、以後複数の班をまとめる程度のリーダーについて語る。

2.優れたリーダーとは。

 単に良いリーダーだの優れたリーダーだのとは簡単に言えるが、これは一体どのようなものか。リーダーはその組織が作り出す成果を最大化するために力を尽くす役職である。これは全ての構成員にも当てはまりそうではあるが、意味が少し違う。一人に構成員は、自分が頑張ることで成果を大きくしようとする。一方でリーダーは、すべての構成員から最大限に力を引き出し、引き出した力を効率よく成果につなげることが求められる。極論、自分は何もできなくとも、結果として組織に成果を挙げさせることができる人間は優れたリーダーなのである。

 そして私は優れたリーダーは大きく分けて2種類いると考えている。人に仕事を任せるのが上手いリーダーと、人に頼るのが上手いリーダーである。どちらもやっていることは同じではないかと思うかもしれない。実際そうである。ただ、仕事を振るという行為を意識しているか、無意識であるかという違いに過ぎない。言い換えれば、リーダーに求められているのは「仕事を振る」ことに尽きるのである。そのことはリーダーの仕事から明らかである。

3.リーダーの仕事とは。

 複数班をまとめるようなリーダーになる人間は、大抵小規模班のリーダーを経験している。そのせいでよく勘違いをして駄目なリーダーになっている人が多く感じるのだが、基本的にリーダーは細かな作業をたくさんやってはいけない。むしろ「何もしない」のが優れたリーダーの姿であるべきである。

 「何もしない」というのは寝てればいいということではない。具体的な作業を原則行わないということであって、発生した作業に、或いはやった方がいい作業にいち早く気づき、それを誰かに割り振るのが主な仕事である。ではそのような作業にどのようにして気づくのか。それは作業を見て回る、構成員とコミュニケーションをとる、といったことで気づくのだ。つまり、自らが切羽詰まって作業をしていては、新たな作業に気づけず、本来の仕事を放棄しているとすら言えるのである。

 優れたリーダーは、即ち新たな作業に気づけているリーダーはしっかりと構成員を見ており、「問題の発生や進行上の遅れ」という新たな作業にも気づけている。加えて各班のキャパシティなどにも目を向けられ、作業の振り方も適切になる。全体像も把握しており、異なる班の作業を結び付けて無駄をなくしたり、新たな発想を導く可能性さえある。一人が作業をしなくなった分以上の成果に繋がる仕事をしているとは思わないだろうか。

 そうは言っても本当に新たな作業にさえ気づけばいいのか、とも思うかもしれない。確かに何もしない人間のいうことは聞きたくない。その点ではやる気がなくなってしまい、成果が縮小する。では、優れたリーダーはどうあるべきか。気づいた作業のうち、明確な担当者がいないような全体に関わり、かつ一人で負担にならずに済ませてしまえる程度の軽い作業をさっとやってしまうのだ。それは書類の作成かもしれないし、電話かもしれない。しかし、殊全体に関わる案件となると、全貌をわかっているリーダーにはすぐにできることでも、一構成員には関係する他の班と相談が必要となるなど負担が大きい。そのような作業はリーダーの側で誰にも言わずに自己完結したほうがよい。このようなことを繰り返すうちに、リーダーの側は大したことは「何もやっていない」つもりでも、何だか気づいたら作業を手早く終わらせている、手際のよいできるリーダーであると思われるようになる。しかし、そのことを表に出してはいけない。あくまで仕事は「何もやっていない」位のつもりでいなければ構成員のやる気は引き出せないのである。

 このような点で、リーダーには一定の自己完結能力が求められる。しかし、その作業は「何もしない」の範囲を超えてしまうと本来の仕事がおろそかになってしまう。バランスのとり方を大切である。

 

 次に「何もしない」優れたリーダーがやらないことを述べようと思ったが、想像以上に長くなってしまったため分割し、記事は次回に続く。

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